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わずか4分間で最大の運動効果! 世界が注目する「タバタトレーニング」がすごい

2021年2月19日


「タバタトレーニング」を耳にしたことはあるだろうか。タバタとは、このトレーニングメソッドの開発者 田畑泉教授(立命館大学 スポーツ健康科学部)の名前から取ったもの。日本で生まれ、世界中のアスリートに採用されているタバタトレーニングでは、短時間で効率よく「持久力」を鍛えられるという。
コロナ禍により十分な運動ができなかったり、家にこもる時間が増加したりすることで、持久力の低下が懸念される今、我々一般人にもタバタトレーニングのメリットは大きい。1回のトレーニング時間は、4分間! 超効率的な取り入れるためのポイントを、開発者である田畑に聞いた。

「(20秒+10秒)×8セット」で持久力が鍛えられる? そのメカニズムとは

持久力向上をイメージする時、多くの人はジョギングやサイクリングなど長時間のトレーニングを思い浮かべるのではないだろうか。しかし、田畑教授の開発した「タバタトレーニング」なら、【20秒間の強度の強い運動と10秒間の休息】を8セット、合計わずか4分間で一回のトレーニングは終了する
具体的な動きも特に決められたものはなく、ダッシュやバイクマシン、自宅で行うならバーピージャンプなど簡単な動きで構わない。ポイントは、「疲労困憊になるまでやること」だ。たったこれだけで、持久力が鍛えられるとはどういうことなのだろうか。

以下はタバタトレーニングの実験のグラフ。左が運動強度に対して必要な酸素摂取量を示したもの、右が実際にトレーニングを行った際の酸素摂取量の変化を表したものだ。

「運動を始めるとその運動強度に合わせた酸素摂取量が必要になります。それが右のグラフでいうと、ブルーとピンクの部分を足したものです。しかし、実際に摂取できた酸素はピンクの部分のみ。足りない部分はどこかから借りてこないといけません。それがブルーの『酸素借』です。この酸素借は、私たちの体内にある無酸素系のエネルギー供給機構から供給されたものになります」(田畑教授、以下同じ)

この時、体内のどこに負荷がかかっているかというと、心臓だ。激しい運動をした時に、心拍が急激に上がるのを想像してもらうとわかりやすい。“1分弱で疲労困憊になるような高い強度で行う”ことで、心臓を鍛えられるというのがタバタトレーニングのひとつのポイントになる。
また、これを7回まで繰り返すと、徐々にピンクの面積が大きくなっていき、最終的には最大酸素摂取量にまで達していることがわかる。すなわち、体内に取り入れ活用できる最大量の酸素を摂取できるようになり、有酸素系のエネルギー供給機構が鍛えられる。

酸素摂取量は運動中徐々に上がっていくので、少なくとも3分程度は動き続けることが必要なのです」と田畑教授。「このような高い強度の運動を「4分間」続けることで、無酸素性エネルギーも有酸素性エネルギーも同時に効率的に鍛えることができるのがタバタトレーニングの強み。これによって最大酸素摂取量を増やすことができ、持久力アップにつながるのだ。

1996年頃にアメリカで論文を発表した後、フィットネス雑誌に取り上げられ認知が高まったこのトレーニングは、海外の筋トレ好きからトップアスリートまで多くの人に受け入れられた。今では、世界中でアスリートがトレニーングメニューとして採用している

継続することで、病気に強くエネルギーを消費しやすい体をつくる

このトレーニングの効果は、何も持久力や競技力向上だけにとどまらない。田畑教授曰く、心肺機能を鍛えることで、病気になりにくい体づくりにつながり、一般人である我々にも大きなメリットがあるというのだ。

生活習慣病の発症リスクと最大酸素摂取量は大いに関係があります。最大酸素摂取量が高い人は心疾患や糖尿病など、さまざまな疾患のリスクが低いのです。そのため、エリートアスリートのような方以外も、タバタトレーニングは非常に意味のあるものだと言えます」

4分間の短いトレーニングとはいえ、やってみるとかなりきついのがこのタバタトレーニング。さぞかし体も引き締まることだろうと思われるかもしれないが、実はこのトレーニング自体にはダイエット効果はない、と田畑教授は指摘する。

「たった4分なので、脂肪を燃焼するには時間が短すぎてダイエットにはなりません。ただし、最大酸素摂取量が上がると、同じランニングを行っても、高い強度で走れるようになる。するとエネルギー消費量も高くなり、結果的にダイエットにつながるという側面はあります。また、日常的な身体活動量が増えるということもありますね。身体活動が増えれば、消費するエネルギーも増えて、意識しなくても脂肪を燃焼できる体に近づくのではないでしょうか」

いざ、自宅でタバタトレーニング! 取り入れる際のポイントは?

このトレーニングのポイントは「4分間」「疲労困憊になるまで」運動を続けるということだが、強度が強すぎて1〜2分しか続けられなかったり、逆に強度が弱すぎたりしても十分な効果は得られない。“1分弱で疲労困憊になるような高い強度”が理想的と田畑教授は語るが、自宅でトレーニングを行う際はどのように設定すればいいのだろうか。

「まずは具体的な目標は決めず、20秒間とにかく思い切り動くのを8回繰り返してみてください。例えばバーピージャンプを、1セット目は20回できた、2セット目は15回できた、と回数を数えながら繰り返していきます。その8セット分の平均が10回だとすると、次からは1セット目から8セット目までずっと10回ずつやっていく。そうするとちょうどいい強度になるはずです。これを週に2回ほどやれば十分に心肺機能は鍛えられます」

効率よく鍛えられるトレーニングである一方で、強度が高い分リスクもある。特に注意が必要なのが医師に高血圧と診断されている人だ。

「運動中に血圧がかなり高まるため、高血圧と診断されている人は医師へ相談した上で行ってください。またその疑いがある人も、実施の際には注意が必要です。最近の研究では、疲労困憊になるほどでなくても、7割程度の強度で最大酸素摂取量の増加が見込めることがわかってきたので、くれぐれも無理はしないでください」

家での時間が増え、体を動かす機会が減った今、疲労困憊になるほどの運動を久しくしていない人も多いはず。まずは週2回、“へとへと”になる時間をつくってみてはいかがだろう。意外にもその達成感が、クセになるかもしれない。

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shiRUto 編集部

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