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ストレッチ効果を高めるコツは呼吸とインターバル 血管を若返らせる「血管ストレッチ」を詳しく解説

2022年2月3日


ストレッチ効果を高めるコツは「呼吸」「20秒インターバル」 動脈硬化度を下げる「血管ストレッチ」を詳しく解説

「最近、体が硬くなってきた」。そんな自覚を持ったなら、血管も同様に硬くなっている可能性がある。立命館大学 スポーツ健康科学部の家光素行教授は、体が硬い人ほど血管の柔軟性も低く、動脈硬化による心疾患のリスクが高いことを突き止めた。一方、ストレッチをすることにより、筋肉だけでなく血管の柔軟性も高めることができることを示した。
動脈硬化と血流、そして効果的なストレッチの方法について詳しくお伝えしていく。

〈この記事のポイント〉
● 加齢とともに誰でも血管は「老化」する
● 体が硬い人は、血管も硬い!?
● ストレッチが「血管拡張物質」の分泌を促す
● コツは「呼吸」と「20秒インターバル」
● 動脈硬化度を下げる「5つのストレッチ」を詳しく解説

動脈硬化度は年齢とともに上昇する

さまざまな研究から、加齢とともに動脈硬化度は上昇していくことがわかっている。つまり、血管が硬くなっていくのだ。
一般的に男性のほうが血管が硬いが、その理由は女性ホルモン(エストロゲン)に血管をしなやかに保護する作用があることによる。一方、50代を超えると女性は閉経により女性ホルモンの分泌が減るため、動脈硬化度が一気に上がることになる。この年代の女性は、骨粗鬆症などのリスクとともに、動脈硬化による心疾患のリスクも大きく高まるということがいえる。

体が硬い人はさらに注意! 体の硬さは血管の硬さに比例する!?

血管

加齢は誰にでも起こることだが、家光教授らの研究では、体の硬さが動脈硬化度、すなわち血管の硬さに関連することが示された。

「実験では、体の硬い人と柔らかい人で動脈硬化度を測定しまいた。動脈硬化度の値が低ければ低いほど血管が柔らかい。値が高ければ高いほど血管が硬くて動脈硬化度のリスクが高いというものです。その結果、柔軟性が低い人、つまり体が硬い人は、柔らかい人に比べて動脈硬化リスクが高い結果が出ました」(家光教授、以下同じ)

実験は、「脈波伝播速度」という、心臓から足首まで血液が流れる時間を計測することで行われた。意外なようだが、「血液の流れるスピードが速い人の方が血管が硬い」のだという。

「血管が硬い人は、硬い水道管に水を流すようなイメージで、一気にジャーッと流れます。一方、血管が柔らかい人は、血管が広がるような形で流れるスピードを緩衝していくため、スピードが遅くなるのです。
血管が硬いとなにが悪いかというと、心臓に大きな負担がかかるからです。例えば、口に水をいっぱい含んで、細いストローから吹き出そうとすると、かなり力まないと水は出ないですよね。でも、タピオカを飲むような太いストローなら、楽に吹き出すことができる。
血管が硬くなるということは、心臓が常に細いストローで血液を送らなければいけないようなものなのです」

ストレッチにより「血管拡張物質」が分泌されている

家光教授らの研究では、全身のストレッチによって血流が増加し、血管の柔軟性を高める可能性があることが示された。なぜ、ストレッチにそのような効果があるのだろうか。

ストレッチ後の休息に血流が増加
(Higaki Y,,, Iemitsu M. PLoS One 16: e0259444, 2021)

「こちらは脛骨動脈(ふくらはぎ)のストレッチと血流の関係を示しています。黒色がストレッチしている脚、白丸がストレッチしていないほうの脚、縦軸が血流です。
ストレッチすると、筋肉とともに血管も引き延ばされ、少し“うっ血”したようになり若干血流量が少し減ります。ところが、ストレッチをやめて解放すると、急激に血流が増えることがわかります。
実は、血管の一番内側には内皮細胞という細胞が敷き詰められていて、流れていく時の物理的な刺激(シェアストレス)によって血管を拡張する物質(一酸化窒素:NO)を産生することがわかっています。これは『血管拡張物質』ともいわれるもので、血流量の増加の繰り返しがその分泌を促し、動脈硬化度を低下させる原因ではないかと考えています」

ストレッチ前に注意! 「呼吸」と「インターバル」を絶対に取ること

では最後に、家光教授がおすすめする5つのストレッチを紹介していくが、絶対に忘れてはいけない注意点があるという。

ストレッチ運動のポイント

「まずは、①の『呼吸』です。意外と多いのが、息を知らず知らずのうちに止めてしまう方です。しかし、息を止めていると動脈硬化度を下げる効果がなくなります。呼吸を普通に続けたまま、ゆっくりとストレッチしてください。
そしてもうひとつ、④のストレッチ間の休息(インターバル)も重要です。インターバルを5秒程度に短くしてしまうと、効果が減弱します。10〜20秒の間隔を空けてストレッチしてください」

動脈硬化度を下げる「座ってできる5つのストレッチ」を詳細解説

紹介するストレッチは5種目。1種目30秒で、左右それぞれ2回ずつ行う。1セット10分ほどで終わるストレッチを朝晩2回、毎日4週間行う。

「ストレッチは、体幹から始めて、徐々に末梢を伸ばしていく順番が効果的であると考えられます。①〜⑤の順に行うことをおすすめします」

ストレッチのやり方
ストレッチのやり方
ストレッチのやり方

朝晩の10分間のストレッチタイム。気分のリフレッシュや体の気持ちよさに加えて、動脈硬化のリスクも下げるとなれば、取り入れない理由はない。「体が硬い」と自覚がある方には、特におすすめしたい健康習慣だ。

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家光素行

筑波大学大学院医学研究科博士課程修了「博士(医学)」。日本学術振興会特別研究員、筑波大学大学院 人間総合科学研究科助手、立命館大学スポーツ健康科学部准教授を経て、現職。医薬基盤・健康・栄養研究所の客員研究も務める。専門は運動生理・生化学。高齢者における生活習慣病(特に循環器疾患・糖尿病)やサルコペニアの予防・改善のための運動や栄養(サプリメント)に関する基礎から応用的な研究を行っている。

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