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筋肉量の減少が糖尿病・心疾患の原因に!? タンパク質不足を改善し筋肉を維持する朝食のコツ

2021年7月23日


コロナ禍によって、リモートワークや外出の自粛が定着する中、運動不足を実感している人も多いのではないだろうか。実は、長期的な運動量の減少は、健康にも大きな影響を及ぼす。運動と健康との関係、そして筋肉を守るタンパク質の効果的な摂り方などを解説していく。

〈この記事のポイント〉
● コロナ禍が引き起こす深刻な筋肉量の減少
● 筋肉量が減ると糖尿病や心疾患の発症リスクが上昇
● 筋肉は認知機能や骨代謝などにもかかわり、健康を守る
● 今こそ、筋肉をつくるタンパク質を意識的に摂取すべき!
● 「プラス1品」でタンパク質不足を補う
● プロテインを取るなら、ロイシンを含んだものを

筋肉量の少ない人は、糖尿病や心疾患に注意を!?

コロナ禍によって、人々の運動量や活動量が低下しているといわれている。その影響について、立命館大学スポーツ健康科学部の藤田聡教授は、筋肉量の減少につながり、健康に対するリスクの増大が懸念されると警告する。

「ある研究によると、ふだんは1日に約7000歩ほど歩いている人が、意図的に歩数を2000歩程度に減らして2週間継続したところ、脚の筋肉量が約4%減ったという結果が出ました。


わずか4%と思われるかもしれませんが、筋力トレーニングを3カ月間続けても、増える脚の筋肉量は3%から4%ですから、歩数減少の影響は極めて大きいといえます。



これは海外のデータですが、コロナ禍の前後で活動時間が減少し、座位時間が増加していることがわかります。座位時間が長ければ長いほど、死亡リスクは高くなることがわかっているので、コロナ禍は健康に対して二重に悪影響を与えていることが読み取れます」

筋肉量の減少は、糖尿病や心疾患などにも影響する可能性があると藤田教授。筋肉量と疾病との因果関係はどのようなものが考えられるのだろうか。

「40歳前後の日本人男性では、脚の筋肉量と内臓脂肪の量との間には相関関係があり、脚の筋肉量が少ないと内臓脂肪は多くなるというデータがあります。また、太ももが太いと全身の筋肉量も多くなるという関係性があり、韓国の研究では、脚が細ければ細いほど糖尿病の発症リスクが高くなるということが報告されています。
筋肉量が少なくなると、食後の糖質を蓄える場所がなくなるので、血糖値が上がったままの状態を防ぐために、肝臓で糖質を脂肪に変換するようになります。その結果、筋肉量の少ない人は中性脂肪やコレステロール値も高くなって、長期的には糖尿病や心疾患のリスクを上げる可能性があると指摘されています」

筋肉は「脂肪の分解」「認知機能」「骨代謝」にも関係する臓器だった

さらに筋肉には、さまざまなホルモンの分泌という役割もある。筋肉を維持することは我々の想像以上に健康を守ることにつながることがわかってきている。


筋肉が分泌するホルモンを総称してマイオカインと呼びます。現在、数百種類が同定されていて、さまざまな機能を持っています。
IL-6というマイオカインは、脂肪の分解を助けます。BDNFは脳細胞のネットワークを形成し、認知機能に影響するのではないかといわれています。イリシンは骨代謝に関連するホルモンで、骨を強くすることに関わります。
これらはおもに運動によって分泌されますが、IL-15という皮膚の代謝に関連するマイオカインは運動しなくても分泌されるので、筋肉の量が多いと、それだけ分泌できる量も増えることになります。
最近では、筋肉を保つことが肌の健康にもいいという研究結果も発表されています。筋肉を維持することは、QOLを高めるために大きな役割を担っているといえるでしょう」

「手の平サイズ」のタンパク質食品をプラスする

健康を守る大切な筋肉を維持するには、タンパク質の摂取が欠かせない。コロナ禍において、十分な摂取のために気をつけるべきポイントとは?

「タンパク質を取ったからといって、それがすべて筋肉になるという単純な話ではありませんが、筋肉の維持には、タンパク質の意識的な摂取が重要です。
タンパク質は基本的に貯蔵できないので、筋肉を維持するには、常に食事でタンパク質を摂ることが大切になってきます。現在のコロナ禍のように運動時間が減少したり、不活動の状態が長くなると、タンパク質で筋肉をつくる能力が低下することが報告されています。つまり、コロナ禍ではより意識的にタンパク質を摂る必要があるといえます」

食事におけるタンパク質の重要性は増すばかりだが、そもそも現代日本人の食生活は、タンパク質を十分に摂れていないのだという。下のデータによると、日本人の多くは、年齢や性別に関係なく、朝食でのタンパク質の摂取が必要とされる20gに達していない。


「データでは、平均的な摂取量は推奨量を大きく下回る12g程度にとどまっています。
タンパク質を摂取すると1時間以内に筋肉の合成が刺激され、一定量までは食べれば食べるほど筋肉をつくる働きは強くなります。その一定量が、高齢者の場合には体重あたり約0.4gといわれていて、体重50kgで約20gになります。
食事ごとに20gから30g、1日合計で50gから60gのタンパク質の摂取が必要されているのは、そのような理由からです。しかし、例えば1日の摂取量が十分でも、3食のタンパク質の摂取の配分が不均等だと、高齢者ではフレイルのリスクが高くなるといわれています。


私たちの調査でも、朝食を食べない大学生は、3食きちんと食べる学生に比べて筋肉量が少ないという結果になっています」

では、不足しているタンパク質を摂取するには、何をどれくらい食べるべきなのだろうか。


私のアドバイスは“手のひら”に乗る1品を足すことです。たとえば、卵のタンパク質は6gから7gなので、1個足せば約20gになります。ギリシャヨーグルトなどには10gも入っているものがあります。1品でも料理をつくるのは大変ですが、足すことはできるのではないかと考えています」

プロテイン食品中の「ロイシン」で筋肉の合成が2倍に?


最近では、「プロテイン含有」を謳うドリンクや食品が数多く店頭に並ぶようになった。水に溶かして飲むタイプ、手軽に食べられるスティックタイプ、さらにカップ麺にプロテインを摂れるものまである。

「市販されているプロテインで、もっとも多いのはホエイプロテインと呼ばれているものです。ホエイプロテインは、“筋肉をつくれ”という強力な指令を出す必須アミノ酸『ロイシン』の含有率が高いのです。ロイシンを摂取すると、1時間以内に筋肉の合成が約2倍に上がるため、特にアスリートの間で、ホエイプロテインはポピュラーなものになっています。
ロイシンが入ったホエイプロテインなどを摂取すれば、運動をしなくても筋肉の合成が行われるため、アスリートだけでなく、食事で不足しているタンパク質を補いたいときにも効果的な選択肢になるでしょう。もっともおすすめなのは運動後ですが、朝食時や就寝前の摂取も効果があります」

なにも“マッチョ”になるためにプロテインを飲むのではない。筋肉量の維持の重要性が高まった今、“手の平に乗る1品”に加え、プロテインはタンパク質摂取のメジャーな選択肢だ。

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shiRUto 編集部

教育・研究から得られる知の数々が私たちや社会とどう関わっているのかを、ビジネス、テクノロジー、グローバル、ライフ、スポーツ、カルチャーの6つの視点で取り上げています。世界を、日々の生活をよりよくする、明日のビジネスを考える、新たなイノベーションを起こす、そんなきっかけを生み出すメディアとなることを目指しています。

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