多くの日本人にとって、アフリカは遠い国だ。地理的な距離だけではない。アフリカにおける深刻な貧困、人々を取り巻く劣悪な生活環境、犯罪、繰り返される紛争。そして、近年の急激な経済成長や日本企業を含む民間の大規模な資金投入でさえも、私たちには馴染みのないものだ。しかしアフリカをめぐるさまざまな動きは、日本にも強い影響をもたらすようになってきた。
アフリカを理解しようとするとき、アフリカ研究者が注目したのは、「暴力」という視点だった。現地で目の当たりにする絶望的なまでの貧富の格差。巨大な格差から生じる絶望や憎悪は、さまざまな形の「暴力」に姿を変え、最終的には先進国にも影響を及ぼしていたのだ。